『それから出し抜けにうす気味の悪いことが起こり始めたんだ。
四つ角まで行って、縁石から車道に足を踏み出すたびに、
僕にはもうこの通りを向こう側まで渡りきることができないんじゃないか
っていう気がしたんだよ。
ただどんどん沈んでいって、僕の姿はそのまま誰の目にも見えなくなっちまうんだってね。
やれやれ、それはやたらぞっとする感じだったね。
それがどんなにおっかないものだったか、君にはきっとわからないだろうな。』
BY村上春樹・訳
↑こっちの訳の方が好きです
『すると、突然、とても気味の悪いことが始まり出したんだよ。
街角へ来て、そこの縁石から車道へ足を踏み出すたんびに、
通りの向こう側までとても行き着けないような感じがしたんだな。
自分が下へ下へと沈んで行って、二度と誰の目にもつかなくなりそうな気がするんだ。
いやあ、こわかったねえ。
君には想像できまいと思うよ。』
BY野崎孝・訳